DETOUR

2020米国大統領選挙、米国政治、勉強したこと気づいたこと

Kanye Westの問題発言

 

絶大な人気を誇るラッパーのKanye Westの2件の発言が、先月末から大炎上している。

 

トランプ大統領支持表明

まず先日、Kanyeは4/25に下記の内容のTweetを書いた。

"You don't have to agree with trump but the mob can't make me not love him. We are both dragon energy. He is my brother. I love everyone. I don't agree with everything anyone does. That's what makes us individuals. And we have the right to independent thought." トランプに賛成しなくてもいいが、皆彼を愛さずにはいられない。ドラゴンのようなエネルギーを持っている。彼は俺の兄弟だ。俺はみんな愛している。誰であれすることすべてを同意することはないし、それが個性を作るのだ。そして皆個々の意見を持つ権利がある。(拙訳)

 

これに対してトランプ大統領からも、"Thank you Kanye, very cool!" と返事があったのだが、なぜこれが物議をかもしたかというと、トランプの政策や性格が起因している。

トランプは、これまでの発言などから"White spremacy"、白人至上主義者ではないかといわれている。白人至上主義とは、白人が他のどの人種より優れているという思想で、差別的思想とみなされているものだ。昨年8月にその白人至上主義者やネオナチのがCharlottesvilleの街を行進し、その行進に対して抗議している人たちの中に車が突っ込み一人が亡くなった。しかしそんな状況下でも、「双方が悪い」としてネオナチと白人至上主義者を責めなかったことが、トランプが白人至上主義者であるといわれる最も大きな由縁ではないかと思う。

そんな白人至上主義者とみられるトランプを支持するとした上記発言。もちろんだれにでも発言や思想の自由はある。しかし大統領は上記のような黒人に対する差別的な態度を何度か示しているため、国中で人気と支持を勝ち得ている彼、しかも黒人である彼が、トランプを支持するとしたため議論を巻き起こしたのだ。

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②『奴隷制度は「選択」であった』

黒人は非常に長い間奴隷制度に非常に苦しめられていた。これはなにをしても消えない、アメリカの黒い歴史である。人々は「所有」され、労働を共有され、社会の中での存在場所さえも制限された。

そんな誰もが知っている歴史があるうえで、5/1にあったTMZのインタビューの中でKanyeが 、"Slavery for 400 years. 400 years? That sounds like a choice. " といったのだ。奴隷であった400年は、「強制」ではなく「選択」のようであると。

 

正直、私もこれを見た時は唖然とした。400年もの間、人権を勝ち取ろうと戦って、幾度となく制裁され虐げられてきていた歴史を知らないのだろうか。そしてその祖先として生きている人たちがそれを聞いて、どうおもうのか。自ら選んで奴隷でいたなんて、そんなことがよく言えるものだともおもった。まだまだ勉強が浅い私にも、多くの人を傷つける発言であることは明らかである。

そしてこの件の問題点を分かりやすく語っているのが、下記の動画でのBlack Eyed Peasのボーカルであるwill.i.amの話だ。彼はKanyeの発言を聞いて傷つき、また1800年後半に生まれた曾曾祖母も奴隷だったという。

 

"When you are slave, you are owned. You don't choose if you are owned. " 奴隷であれば、所有される。所有されると選択はしない。

"That statement was one of the most ignourant statement that anybody came from the hood could ever say about the ancesters." (Kanyeがいったことは)黒人が祖先について述べる最も無知な発言である。

 

また、6/1に出るKanyeの新しいアルバムやプロデュースしている靴についても、この発言がそれらの宣伝のためならもっと最低だとも述べている。

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度々人種や差別が関わる今回のようなことが問題になる中、一方で前述したように発言や思想の自由も重要視されるのもアメリカである。今後もこの件についてはwill.i.amや、Kanyeのインタビュー後に真っ向から反論したスタッフのように、自身の意見を表明し戦う人が増えるのではないかと思う。

彼のように若者含め非常に影響力がある人がこのようなモラルに反するととられるような発言をした場合、社会がどのように対応するか。よく見ておこうと思う。